IN/OUT (2017.3.26) |
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昔から、人の顔と名前を覚えるのは得意ではなかったのですが、ここに来て、その傾向が加速気味のような気がします。忙しさが高まると、全く知らない人の顔を知り合いの顔と空見して、声をかけそうになってしまう事も頻発。そのうち、大失敗をやらかしそうで怖い今日この頃です。 最近のIN"THE RESIDENTS - In between Dreams -" @ブルーノート東京 (17.3.21)1970年代前半から活動している米国の前衛音楽集団 The Residentsのパフォーマンスを観に、ブルーノート東京に行ってきた。 The Residentsのメンバーは、名前も素顔も公表されていない。そもそも、何人組なのかも定かでは無い。シルクハットとタキシードをまとい、目玉の形のマスクで頭を覆った姿で奇妙な音を奏でる集団の存在感は強く(恐らく、鬼太郎の目玉おやじに馴染んでいる日本では、特に印象が強かったのではないだろうか)、私にとっても、若い頃は気になるミュージシャンの一組だった。しかし、正直、ここ最近の活動はチェックしていなかったのだが、彼らは今も現役。32年ぶりの来日公演の話を聞いて、早速、チケットゲット。 ブルーノート東京恒例の、ミュージシャンに因んだスペシャル・ドリンクは、ライチの実が入ったカクテル(ライチを目玉に例えた趣向)。意外に若いお客さんも多い印象だが、前列の方には、バッチリ、The Residents風の仮装を決めているコアなファンもいる。 ステージに登場したメンバーは四人。残念ながら、タキシードに目玉マスクというスタイルでは無い。中世ヨーロッパのペスト医師をモデルにした、クチバシの付いたマスクを被った三人が、それぞれ、ギター、キーボード、シンセ・ドラムを担当。そして、牛の全身タイツを被った人がヴォーカル。因みに、牛の人は、マスクの脇から結構、皮膚が露出しているが、それなりの年齢だと推察される。舞台左手に、白い球体が配置され、そこに、タイトル通り、誰かが語る「夢」の映像が映され、そして演奏が始まる。 ライヴ演奏は、予想以上に上手い。特にギターのカッコ良さは、かなりのものだ。もしかしたら、それなりに名の通ったミュージシャンが匿名で参加しているという噂は本当かもと思わせる。音楽的には、パンク風ニューウェイヴにノイズを混ぜたという感じで、牛が、エキセントリックさを増幅しているという印象だ。前衛音楽と言っても、取っつきにくさは無い。この音楽を、40年以上、ぶれずに、いや進化させながらやり続けてきた凄みがひしひしと伝わってくるし、その凄みは、南青山のジャズクラブのステージ上で、鳥と牛がアヴァンギャルドな音を奏でているというシュールな光景を納得させる力強さを持っている。なんだか、凄い物を観てしまったという興奮に囚われるライヴ体験だった。 "Kong: Skull Island" (17.3.25)キング・コングが大暴れする映画を観てきた。邦題は「キングコング:髑髏島の巨神」。因みに、中国語でのタイトル「金剛 骷髏島」がカッコ良い(環境依存文字を含む。「髑髏島」の「髑」が、骨偏に古い)。 良くも悪くも、見事な怪獣バトル映画だ。この手の映画の定石として、最初は怪獣の姿をはっきり見せず、徐々にサスペンスを高めていって、散々盛り上がったところでドーンと登場というのがあるが、Kongはそんなお約束は無視なのだ。もう、始まってすぐに、その巨体を出し惜しみすること無く見せつけてくれる。そして、大暴れ。もう、これだけで満足だ。「地獄の黙示録」的な映像ではったりを効かせてくれるのはご愛敬として、ストーリーはかなり荒っぽい。途中に出てくる謎の原住民について掘り下げることもないし、主人公達がKongに共感する理由も、なんだかうやむやだと思う。唯一、行動原理が分かりやすいのは、Samuel L. Jacksonが演じる軍人だが、これがまた、面倒くさい人物だし…。因みに、過去のキングコングと違い、舞台は1973年。ベトナムから米軍が撤退した年だ。主人公達は、ランドサット(1号が打ち上げられたのは1972年7月)が撮影した未知の島に調査に来たという設定で、コングを捕まえて見世物にしようとはしない。 製作は、この手の映画を量産してくれるハリウッド・スタジオ Legendary Pictures。昨年、中国資本に買収されてしまったが、巨大資本をバックに怪獣映画を作り続けてくれるなら、文句は無い。ただ、中国資本が出資した映画の常として、中国人女優の押し込みは、我慢するしかないのか…。この映画でも、Jing Tian嬢が出演しているが、正直、いてもいなくても構わない役どころで、しらけてしまう。 いずれにせよ、コングの大暴れを観るだけで、十分に元が取れる映画だが、好事家にとって重要なのは、この作品が、Legendaryが企画している"MonsterVerse"の二作目ということだ。一作目は、Gareth Edwards版の"Godzilla"。Kongの最初の方のシーンでも、Godzillaに登場した組織 MONARCHについての言及があり、二作が同じ設定を共有しているのが分かる。そして、Kongのエンド・クレジットが流れた後に出てくるおまけ映像が、実はこの映画最大の見せ場なのである(分かる人には分かるあの映像の意味って、アメリカの普通の観客には伝わっていないのかも?)。今後のMonsterVerseの展開で企画されている怪獣映画に期待が高まるのである。 最近のOUT"Passengers" (17.3.25)Chris PrattとJennifer Lawrence主演のSF映画を観てきた。 舞台は、120年かけて移民先の惑星を目指す巨大な宇宙船。5000名の乗客と258人の乗員は、航行の間、人工冬眠しているのだが、二人だけ早く目覚めてしまう。目的地までは、まだ90年。二人は、このまま誰にも知られず、宇宙船内で死んでしまうのか…。一方、宇宙船には不慮のトラブルが発生! この設定を聞いたときは、これは面白いSFに違いないと思った。話しの膨らませ方次第では、サスペンス風にも、アクション風にも展開できそうだ。しかし、期待は大きく裏切られてしまった。これは、SFじゃなく、単なるロマンス映画だ。Chris Prattがイケメンだから成り立っているが、もし、目を覚ましたのが不細工男だったら…。悪く言えば、少女誘拐監禁事件を興味本位の男性目線で描いた下品映画と大差ないんじゃないか? 久しぶりに訪れた飲食店で、店員さんに顔を覚えてもらっていると、とても嬉しくなる一方で、こういう仕事は全く自分には向いていないと実感してしまいます。 |