IN/OUT (2024.4.21)

水戸芸術館春の矢野顕子強化月間スタート(今週は、有楽町・I’M A SHOWでのソロと、水戸芸術館での”やのとあがつま")。その一環で、初めて水戸を訪れました。


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”She Came to Me”24.4.20

Peter Dinklage、Marisa Tomei、Anne Hathawayが共演した映画を観てきた。あまりにもシンプルな気がするタイトルだが、映画を観れば、ちゃんと深い意味があることが分かる。邦題は「ブルックリンでオペラを」。

Anne Hathawayは精神科医。Peter Dinklageは現代オペラの作曲家。ブルックリンに暮らすパワー・カップルと呼べそうな夫婦だ。スランプで新曲が出来ずにいる夫は、気分転換の散歩中に立ち寄ったバーで、昼間から飲んでいる女性に声をかけられる。タグボートの船長だというその女性がMarisai Tomei。この二人の出会いから、奇妙なラヴ・コメディが走り出す。

とにかく、登場する大人が皆、変人揃い。精神的に脆いPeter Dinklage。潔癖症で修道女になることに憧れるAnne Hathaway。恋愛依存症のMarisa Tomei。主人公夫婦の家のハウスキーパーに雇われた女性は東欧からの不法移民。その夫は南北戦争の再現イベントにハマる面倒くさい右翼。癖有りの大人達に対し、Anne Hathawayの息子とハウスキーパーの娘の若い2人は、真っ直ぐな恋を貫こうとする。

主役3人が、それぞれ、パブリック・イメージ通りの役柄で、与えられた変人ぶりを嬉々として演じているのが楽しい。特に、プロデューサーも務めるAnne Hathawayは、自分がスタイルの良い美人である事を十分に自覚した上で、自虐に走るのがお好きだなあ、と思う。そこに着地するか! という感じのオチは、彼女のキャラがあってこそだ。

1時間42分で気軽に観られる作品だが、Anne Hathawayが主演の王道ラヴ・コメだと思って観ると裏切られると思う。相当に捻くれた作品である。

それにしても、この作品で描かれた現代オペラというのは、実在するジャンルなのだろうか。映画の中で描写される主人公が作曲したオペラは、女性殺人鬼の物語や、エイリアン版ロミオとジュリエットを、オペラ独特の堂々たる歌唱法で演じるもの。私としては、あまり、近づきたくない世界である。


「北欧の神秘 - ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」@SOMPO美術館24.4.20

SOMPO美術館ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館。北欧の3つの国立美術館のコレクションから選び抜かれた約70点の作品を展示するという展覧会を観に、SOMPO美術館に行ってきた。

SOMPO美術館集められているのは19世紀から20世紀初頭にかけての作品群。いかにも北欧らしい、静謐な風景画が目立つ。湖が多数有るからだろうか、水面が描かれた絵が多いという印象もある。そうした中に、フィンランドの民族叙事詩に登場する大気の乙女「イルマタル」を描いたRobert Wilhelm Ekmanの作品など、妖精が登場する作品が混じる。自然の情景も妖精の描写も、観る機会が多いフランスやイタリアなどの絵画とは違う雰囲気だと感じる。

SOMPO美術館展示フロアは、5階・4階・3階にあるのだが(上から観ていって、最後に2階のミュージアムショップに辿り着くという順路)。写真撮影が許可されているのは4階だけ。そのフロアの入り口には、北欧デザインの注意書きが。

SOMPO美術館そこには、北欧の画家の中では圧倒的知名度を誇るEdvard Munchの作品「フィヨルドの冬」もある。有名な「叫び」ほどのインパクトはないが、風景画にしては不穏な空気が満ちている。

SOMPO美術館「魔力の宿る森 ー 北欧美術における英雄と妖精」としてまとめられている北欧の伝承や神話を題材にした作品群には、印象深い物が多い。中でも、気になったのはTorsten Wasastjernaの「ベニテングタケの陰に隠れる姫と蝶(《おとぎ話の姫》のためのスケッチ)」

SOMPO美術館Gerhard Muntheの「山の中の神隠し」も、いかにもノルウェーっぽい。

SOMPO美術館Theodor Kittelsenの「トロルのシラミ取りをする姫」は、展覧会のキー・ヴィジュアルにも使われているだけに、インパクトがある。そして、可愛い。

展示の仕方にも工夫がされている。森の中で耳を澄ませる男を描いたBruno Liljeforsの「密猟者」の前にはスピーカーが置かれ、森の中で聞こえる鳥のさえずりが微かに流れていたりする。

SOMPO美術館そして、展覧会の最後は、エレベーターの扉に描かれた女性たち(Edvard Munchの「ベランダにて」に描かれている人物だ)に見送られるという趣向。

これまで、あまり観る機会が無かった北欧の絵画だが、中々に興味深い展覧会だった。ただ一点、美術館の閉館は18時なのに、2階にあるカフェが16時でラストオーダーというのは、如何なものか?



水戸芸術館せっかくなので、写真などで見て、ずっと気になっていた水戸芸術館の「塔」に上ってみました。特徴的な外観は磯崎新の設計。高さ100mのタワーの86m地点にある展望室は200円。まぁ、外観から想像が付く通り、「展望」には全く力が入っていない設計で、エレベーターを降りたところは、何とも無骨な空間。

水戸芸術館壁面にアトランダムにある丸い窓から見える景色も、取り立てて絶景というわけではありません。

それでも、これはこれで味わいがあり、ライヴ前の時間潰しに、偕楽園でなく、塔を選んだことに、悔いは無し。