IN/OUT (2024.4.28)

大型連休が始まりました。矢野顕子強化月間の最中ですが、事前に入れていた予定と、その後で発表されたライヴ・スケジュールが被らなかったのが、ラッキー。


in最近のIN

”Godzilla x Kong: The New Empire”24.4.26

Legendary PicturesとWarner Bros.が仕掛けるプロジェクト”MonsterVerse”の最新作を観てきた。2014年の"Godzilla"、2017年の"Kong: Skull Island"、2019年の"Godzilla: King of the Monsters"と、ここまでは、まぁ楽しめたのだが、2021年の前作"Godzilla vs. Kong"が、酷い出来だった。期待よりも不安の方が大きいのだが、果たして…

結論は、不安に思っていたよりも、さらに酷い作品だ。前作のタイトルが”vs”だったのに、今回は"x"となっていることから、ゴジラとコングが共闘するのだろうという想像は付いていたが、その敵が、ちょっと想像の斜め上というか、斜め下というか…。今どき、地球空洞説を堂々と設定の中心に据えるところもスゴい。そして、日本では破壊神のように描写される(MonsterVerseでも初期の3作はそうだった)ゴジラも、ここでは、軽快に動き回りながら熱線を吐く大イグアナだ。

怪獣映画を現代でリブートするには、通常兵器が通用しない生物という荒唐無稽な設定と、リアルな現実との折り合いをどう付けるかが肝だと思う。「シン・ゴジラ」も、「ゴジラ−1.0」も、その案配が良かったことが大ヒットの一要因だろう。MonsterVerseでも、最初の頃は、その辺を上手くやっていたと思う。しかし、前作から登板したAdam Wingard監督は、そういう努力を放棄。現実味はまるで無視。

と、良いところがまるで無いのだが、前作以上に勢いだけで押し切る突き抜けぶりは、認めざるを得ない気がしてくる。なまじ、ハリウッド映画としてではなく、帰ってきた「東宝チャンピオンまつり」と割り切って観るのが吉。


「ピンク・フロイド – The Dark Side Of The Moon」@コニカミノルタ プラネタリアTOKYO DOME 124.4.27

プラネタリアTOKYOPink Floydの1973年の歴史的名盤”The Dark Side Of The Moon”を、プラネタリウムの施設を使い、全天周映像と共に爆音で楽しむという催し物を観に、コニカミノルタ プラネタリアTOKYOに行ってきた。

上映開始。予想を超える、リアルのコンサートに負けない爆音だ。ただし、Hi-Fi的には超高音質という程ではなく、音圧で圧倒してくる感じ。もちろん、こんな音量を自宅で流すわけにいかないので、名盤を迫力有る音響で聴ける機会というだけでありがたい(ただ、内容をよく調べずに来てしまったのか、小さなお子さん連れのインバウンド客が、開始10分ぐらいで、出て行った…)。

ロック史上に燦然と輝くコンセプト・アルバム。音楽だけで圧倒的に素晴らしいのは当然として、プラネタリウム用に、全天周に広がる映像付き。SF映画の名作からインスパイアされたような映像も多いが、まぁまぁ、曲の雰囲気には合っているかな。元々、映像には期待していなかったのだが、終盤、盛り上がるシーンもあり、映像面でも退屈はしない。

なお、アルバム・タイトル"The Dark Side Of The Moon”は、別に月旅行を歌った訳では無く、「狂気」の暗喩である(邦題が「狂気」なのは、身も蓋もない気がする)。宇宙っぽいタイトルだからプラネタリウム用の映像作品に仕上げました、というのは安直ではないかという気がしていたのだが、製作陣もそのことは承知の上で、巧い感じに意味深な映像に仕上げている。結構、好感が持てる。

この感じで、”Wish You Were Here”もやってくれないかな、とか、他のプログレの名盤や、David Bowieあたりのアルバムでもやってくれないかと、夢想してしまうのである。


「マティス 自由なフォルム」@国立新美術館24.4.27

国立新美術館フォーヴィスム(野獣派)を代表する画家、Henri Matisseの展覧会を観に、国立新美術館に行ってきた。

時代を追って紹介される作品群の内、初期のものは、極々普通の静物画だったり風景画だったりする。それが、鮮やかな色彩の油彩画や、単純化された線描、 彫刻作品、舞台衣装などに発展し、進化していく変遷が興味深い。

後半(ここから、写真撮影可になる)は、「切り紙絵」に焦点を当てた展示となっている。アシスタントに色を塗ってもらった紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法。手術で体力が無くなったことで取り入れた手法ということだ。

国立新美術館特徴的なブルーヌード。

国立新美術館そして、今回の目玉。縦4.1m×横8.7mの大作「花と果実」。この展覧会のためにフランスでの修復を経て日本初公開。やはり、素人鑑賞において、巨大さは正義だ。

国立新美術館最後は、彼が1948年から4年間にわたり建設に携わった、フランスのVenceにあるChapelle Du Rosaire(ロザリオ礼拝堂)に関する展示。

国立新美術館ステンドグラスなどの内装、壁画、

国立新美術館聖職者が着用する儀礼用装身具など、全てをデザイン。

国立新美術館展示の最後には、その礼拝堂が実物大で再現されている。

国立新美術館それも、一日を3分間に凝縮し、日差しが変わる様子がシミュレーションされている。

午前中の光

国立新美術館午後の光

そして、このあと夜を迎えるのだ。

せっかく、ここまで作り込んだのなら、立ち入り禁止ではなく(祭壇は無理としても)信徒用ベンチに座って、一日の流れを体感させてくれれば良いのにと思ったが、さすがに難しいかな。

国立新美術館因みに、彼が81歳の1951年、現在の東京国立博物館で日本初の「マティス展」が開かれ、大いに話題になったそうだ。

文藝春秋の表紙も手掛けている。

オーディオ・ガイドは安藤サクラ。解説自体は普通だが、最後に紹介される、Matisseを看病し、絵のモデルも務めた修道女の言葉が感動的。美術展のオーディオ・ガイドで泣きそうになるとは! 全体を通して、とても良く構成された展覧会だった。



ただ、インバウンドの盛り上がりもあり、この期間、どこも混雑が激しそうなのが、ちと面倒くさいか。まぁ、私自身も混雑に一役買っている訳なので、仕方ないのですが。