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冬の矢野顕子強化月間、絶賛継続中ですが、NHKホールでのさとがえるが終わると、いよいよ年末だなぁと実感します。
最近のIN
1976年のアルゼンチンを舞台にした、実話を元にした映画を観てきた。
主人公は、上流階級の子弟が通う名門学校に赴任してきた、皮肉屋で厭世的なイギリス人の英語教師。旅先で出会った女性に良いところを見せようと、海岸で見つけた重油まみれで死にかけのペンギンを助ける。結局、女性にはフラれたが、何故かペンギンには懐かれてしまい、連れ帰ることに。このペンギンがきっかけで、彼の中に変化が生じていく…。その一方、クーデターが起こり、軍事政権による弾圧が彼の周囲にも影を落とす…。というお話。
割に、淡々と話は進んでいくが、しっかりツボを押さえた人情劇だ。一見、取っつきにくそうに見える登場人物達も(軍事政権側の人物を除いて)皆、実は善い人というのが気持ち良いし、主人公の斜に構えた性格も、そうなった背景がちゃんと描かれていて、憎めない。
何より、(基本、歩き回るだけだが)ペンギンの名演技が可愛く、楽しい。しかも、このペンギン、優秀なセラピストでもある。クセ強の登場人物が、ペンギンに向かって、心の奥底にある悩みや本音を打ち明けてしまう、という描写が何カ所かあり、その度に、ニヤニヤしてしまう。
軍事政権による抑圧・弾圧という重い側面もあるが、全体には軽妙で、心温まる物語。多くの人に勧めたい映画だ。
なお、現実の話では、主人公の教師が23歳の時の出来事だったのを、くたびれた中年(演じたSteve Cooganは58歳)の物語に変えているということだ。この翻案は大正解だと思う。
Ari Aster監督の新作を観てきた。邦題は「エディントンへようこそ」
舞台は、2020年、コロナ禍真っ只中の米国。IT企業のデータセンター誘致の是非に揺れる、ニューメキシコ州の田舎町”Eddington”。Joaquin Phoenix(ハマり役!)演じる主人公は、この町の保安官。マスク着用に反対する彼は、現市長と対立し、自ら市長選に立候補する。一方、彼の家では、妻(Emma Stoneって、もはや、普通の役柄が出来ないのでは?)とその母親が、カルト教団の教祖にハマり、陰謀論に傾倒している。さらに、町では、Black Lives Matterをきっかけにした反体制デモが激しさを増している。絡み合う状況は、SNSで増幅し、悪い方向へ転がり続け、Eddingtonはカオスに陥っていく…。というお話。
正直、前半は、どこに物語の焦点があるのかピンと来ず、少々退屈だった。しかし、中盤以降、異様にテンションが高まり続け、終盤の銃撃戦になると、Ari Asterの悪魔的な映像テクニックに息を呑みっぱなしとなる。そして、見終わると、どっと疲れているという、感情を振り回される鑑賞体験となる。
分断が深刻化した米国の状況を、皮肉と言うには強烈過ぎる手法で描写する作品だ。ニュアンス的には”One Battle After Another”に近い気もするが、エンターテインメント色は薄く、より、カオス色が強い。さすが、嫌ぁなホラー映画を得意とするAri Aster監督という感じだ。万人には全くお勧め出来ないが、癖になる嫌さに惹かれる好事家には堪らない作品だろう。
そして、ここで活写された分断の米国に、日本も急速に近づきつつあるようなのが、さらに嫌ぁなところである。
魂の傑作、「バーフバリ 2部作」=「Baahubali: The Beginning」と「Baahubali 2: The Conclusion」の2本、合わせて6時間26分の一大絵巻を、再編集し、3時間45分にまとめ直した作品を観てきた。正直、6時間26分の前後編に、1秒の無駄なシーンも無いと信じているのだが、S.S. Rajamouli監督の手腕や如何に?
映画のスタートは、「The Beginnig」と同じだが、途中、やはり短く編集されたり、ナレーションで片付けてしまう箇所が目立つ。個人的には、そこは切らないで欲しいと思っていたところがバッサリ処理されていて、残念ではあるが、仕方ないのだろう。
そして、Kattapaの衝撃の告白のシーンの後、”WKKB”の文字がドーンと映って、10分間の休憩に入る。”WKKB”は、”Why Kattappa Killed Baahubali”の略で、インドでは、「The Beginnig」の公開時、あまりに衝撃的な終わり方に、この単語がネット上に飛び交ったと言う。そして、WKKBの謎が解けるのは、2年後、「The Conclusion」の公開まで待たなければならなかった。しかし、今回は10分間のトイレ休憩だけで、続きが観られるのだ!(贅沢を言えば、お弁当を食べるぐらいの余裕がある休憩時間でも良いかもと思ったり)
ということで、休憩明けから「The Conclusion」の物語になり、引き続き、どのシーンも名場面しかない、熱い物語が語られるのだ。何度観ても、凄い映画だ。
それでもやはり、編集については不満もある。どうしても、戦いのシーンが多く残され、Avantikaとイチャイチャするシーンや、Devsenaとのラブコメ的シーンが割愛されているのが残念。こういうシーンでの歌とダンスが良いんだけどなぁ…。やはり、オリジナル2部作に、無駄なシーンは1秒も無かったのだ。
それでも、「Baahubali」よりも「RRR」の方がS.S. Rajamouli監督の代表作として語られる事が多い状況に不満を持っている私としては、この編集版の公開で、より多くの人が「Baahubali」の驚異的な素晴らしさに気づき、そして、オリジナルの「The Beginning」と「The Conclusion」を鑑賞してくれることを願うのである。
この時期、あちこちでやっているライトアップ・イベント。それほど関心があるわけでは無いのですが、さとがえるコンサートと「青の洞窟 SHIBUYA」の開催が重なるので、結局、代々木公園ケヤキ並木のライトアップは、毎年鑑賞することになってしまいます。これは、スマホ・カメラの実力を問われる、ホワイトバランス泣かせの被写体ですね。
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